火事と服と靴

 栃木県黒磯町ブリヂストン工場火災は発生から一昼夜燃え続けてようやく鎮圧状態になった。黒煙を上げて燃える様子をテレビで見ていて、10年前、神戸で経験したゴム靴底工場の火事取材を思い出した。もちろん火災の規模は全然違って小さな町工場の火事だったが、ゴムが燃えるとなかなか消えないのだ。明け方に呼び出されて現場に急行し、夕刊に出稿するため夢中になって写真を撮り火事の原因を究明のための取材をしているうちに、頭の先から足元までずぶぬれになっていた。煤と煙が混ざった水のシャワーを浴び続けていたようなもので、背広上下と、前日に買ったばかりの革靴は、もう使い物にならない。それ以来、高級紳士服、紳士靴というものを買ったことがない。トラウマ?、ですね。