済州島の豚の焼き肉(韓国旅行の記録その2)

 さて、光化門のキムチチゲに大満足した私たちは明洞に移動して街ブラを楽しむことにした。その途中、まちなかを流れる川の両岸がきれいに整備されていて、人だかりがあちこちにある。なんだろう?と思ったとき、はたと、最近読んだ新聞記事を思い出した。「ああ、これが清渓川か!」。確か、かつての川がコンクリートで蓋をされた暗渠(あんきょ)となり、その上を高速道路が走っていたところを、もう一度川として再生させようという世界でも例がないプロジェクトが、ソウルで実現したという話だった。この先生のホームページなどが分かりやすい。
清渓川復元事業
http://jarn.web.infoseek.co.jp/jarn/seoul/seoul.htm
韓国人の知人は「ソウル市にしては珍しくすばらしい事業です」と言っていた。この時期、日本よりはもう一段冷え込むソウルだが、水辺はたくさんの市民でにぎわっていた。

 明洞にあるNさん行きつけという喫茶店に行ってみると、繁華街のど真ん中という立地にしてはえらく客が少ない。Nさんによると、その店はいつ行ってもそんな感じなのだという。おかげで落ち着いてゆっくりできる。そもそも今回の旅行の目的は、5月の韓国出張でお世話になったソウルのK先生に再会することだった。K先生を私に紹介してくれたのがNさん。K先生とNさんは日本の大学院で同級生という間柄なのだ。そこに新たな友人として私が加わり、「ぜひ3人でソウルで飲みましょう!」と盛り上がり、実現に至ったわけだ。K先生との待ち合わせ時間までにはまだ余裕があるので、明洞からホテルがある東大門まで散歩することにした。
 午後6時半、ホテルにKさんが来た。ホテルの近くはちょっとした飲食店街になっているのが分かったので、この辺で食事をすることにした。Kさんが「ああ、済州島名物の黒豚の焼き肉の店がありますね。そこでどうですか」と言う。もちろん、我々に異論はない。
 注文をするとすぐに鉄板に脂がひかれ、野菜が置かれる。「キムチも焼くんですか?」とKさんに聞くと、「これは韓国でも珍しい。キムチは焼いたりしないのですが」と首をひねっている。

 同じ焼き肉でも、韓国の方が日本より豪快な感じがする。この豚肉、よく見ると、脂身と赤身の層が5つあるように見える。これが済州島特産の豚肉の特徴で、三枚肉ではなく五枚肉というのだそうだ。

 料理を食べながらビール、ソジュ(焼酎)と酒が進む。この日の宴は、始まったばかりである(続く)